プルルルル、と何回かの待機音の間が異様に緊張する。俺はスマートフォンを耳に当て、2回、3回と増えていくそれをそわそわしながら聞いていた。この電話が異様に緊張する。日頃から頻繁に顔を合わせる方ではないという事情もあるし、その要件のこともありありで。
『はい、もしもし』
「あっ、もしもし、石川先輩でいらっしゃいますか? ご無沙汰しております、野坂です」
『ああ、野坂君。久し振り。急に電話なんて、どうしたの?』
「えーとですね……夏合宿までもう日がないにも関わらず、対策委員はインターフェイスの機材の状態や合宿に必要な物などをを全く把握していませんでした。それで、大変申し訳ないのですが、インターフェイスの機材について石川先輩にご教示いただけないかと思いご連絡差し上げた次第でございます…!」
『インターフェイスの機材のことだったら、対策委員解散の時にちゃんと定例会に引き継いだけど?』
「それがですね……」