「はー、充実」
「……大漁…?」
「良かったら、美奈も少し」
「……私、チョコレートは……」

 徹が大量の荷物を提げてゼミ室にやってきた。過度な暖房がかかっているでもないゼミ室の、自分のデスクの下にその荷物をしまい込んで。どこへ出かけていたのかと言うと、冬の催事、チョコレートフェスティバル。
 特別甘党というわけではないけれど、徹は季節問わずチョコレートを齧っている。冬になるとチョコレートの商品ラインナップも増え、その都度コンビニやスーパーで新製品を買って味を確かめている。
 コンビニやスーパーだけでそれが収まればまだいいかもしれない。チョコレート専門店やデパートにまで足を運んでチョコレートを買い漁るのだから。バレンタイン時期になると別の意味での戦争が始まる。