本来、俺は今日という日に対する感傷を長々と引きずると予想していた。菜月先輩との昼放送、その収録が、過去2回のラストとは違って正真正銘のラストとなるのだから。
それがどうした。まあ、いや、これはこれで喜ばしいことではある。気紛れで発揮される“本気”には深く感謝したいしその場に招かれることはとても光栄であるのだけど…!
「うまー」
「そうだろう? 一昨日から準備をしていたからね」
「ノサカ、味が濃いから白いご飯とよく合うぞ」
「あ、はい、いただきます!」
「はあ……」
「川北」
「……ふう」
「おい、川北」
「あっ、はいっ!」
「溜め息が多いぞ」
「スイマセン」
年末は情報センターにとっての繁忙期に当たる。人の多い時間帯はバタバタして考えごとをする暇もなかったんだけど、夜になると何だかんだ人が少なくなってくるからちょっとした隙が生まれる。
情報センターの窓からも、星港の街がキラキラと輝いているのがわかる。そうだよなあ、5階だもん。それを抜きにしてもクリスマスシーズンだもんなあ。キラキラもするよ。