Maniacer's Spiral (R)

　その人は、滅多に他人を部屋に入れたがらない。秘密主義なのか、それとも自身の領域を他者に侵されるのが嫌なのか。まあ、多分両方。だけど、部屋に入れてくれる周期も存在する。

「高崎せんぱーい、お邪魔しまーす」

　返事はない。ただ、許可はもらっている。荷物を抱えて部屋に上がると、音楽はかかっているけどその他が静かすぎて落ち着かない。それどころかパッと見で先輩の姿はないのだ。
　決してトイレや風呂ではない。部屋の中央を陣取る四角い要塞、その周辺をくまなく探せば。ほら、頭がはみ出てる。ったく、外に出たくないってだけで都合のいいときだけ人を呼びつけるんすから。