「うめー、やっぱお前の芋最高だわ」
「そうかそうか、それならばもっと食え」
用もないのにゼミ室にたむろすることなどザラ。ゼミによってはオープンキャンパスの準備がどうしたなどとバタバタしているらしいが、岡本ゼミはそんなこともなく。
高井は美奈に蒸かしてもらった芋を頬張って、お前は食わないのかと皿を寄せて勧めて来る。もちろん食事の機会ではあるから食うが、正直に言えば飽きが来ている。ここのところこればかりだ。
この芋は春山さんから押し付けられたもので、それも今食っている物に限って言えば先にもらっていた物だ。最近もらった物は、暑さが和らいできたこともあって部屋の隅の暗いところに置いてある。