簡単なお土産があるのでご飯を食べに連れて行ってくれないか。もちろん、日付が日付だし薬指が留守だったらでいいけど。
――なんていう回りくどい連絡が入る。菜月さんだ。どうやら実家から戻ってきたようだ。彼女がご飯に行こうと言うときは大体ラーメンだから、今日もそのつもりでいていいだろう。
「はい。つまらない物ですが」
「素晴らしい物だね」
彼女がよこしてくれた緑風のお酒セットをありがたく頂戴して、それを大切に後部座席に移す。しかし、結構豪勢なセットだけど見た感じ値が張りそうだ。僕の知っている菜月さんの台所事情を思えば、大奮発じゃないか。