菜月先輩は動物全般が苦手だったという風に記憶しているのだけど、だとすると今いる場所はかなりの場違いなのではないだろうか。周りには無数の猫。それらと手元の資料を見比べながら、あれはどの子だと照らし合わせ。
「えっと、あの白いのがコニー」
「コニー」
「白黒がぶっさん」
「ぶっさん」
何を間違えたか、俺たちは猫カフェにいる。食事も楽しめて、猫と気軽に遊ぶことの出来る空間だ。もちろん、自分の家で飼っている猫と一緒に来ることも出来る。本来は会員制らしいけど、会員でない人も入れるサービスデーなる制度がある。
猫カフェに来ることになった経緯は、大学でのこと。かわいい猫を見かけたんだと学内を探し回ること1時間。普段は簡単に出会えるところがその日は一匹も会えず。きっと寒かったからだろう。だけど、その日の菜月先輩はどうしても猫と戯れたかったようで、現在に至る。