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【SSS】君の頭がおかしい

 朝霞クンに呼び出され、部屋へと向かう。朝霞クンとは向舞祭が終わった次の日に会って以来。定例会のことを連絡するのに電話をしたくらいで、1ヶ月ほど互いに相手の存在がない生活を送っていた。
 インターフェイスの作品出展が星ヶ丘に回って来たらしい。そういうのは基本的に流刑地の班、今年なら朝霞班が担当するというのが暗黙の了解。ステージの映像を出せれば一番いいんだろうけど、大人の事情でラジドラをやるのがいつもの流れ。

「朝霞ク〜ン、久しぶ」

 ――り、と言おうとする前に驚きが勝る。パソコンにかじりついた朝霞クンは、上げた前髪を洗濯バサミで留め、1ヶ月の間に少し伸びたらしい髪を輪ゴムで結んでいる。


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【SSS】三度突きつけた現実の崩壊

 ゼミの課題を出しに来た流れで、みんなそのまま帰らずに履修を考え始めていた。もうすぐ秋学期が始まる。俺は教職課程の都合もあるからみんなほど全休は取れないけど、全く自分の時間が取れないという程ではない。

「浅浦、助けてくれー。この通り」
「何をどう助けろと」

 俺に頭を下げて、助けてくれと頼み込む相川の履修表はまだ白い。単位がヤバいという程でもないけど、秋学期になるとこうして頭を下げる姿がよく目撃されるし、俺がその対象となることも多々。


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【SSS】ケジメの菓子折り

 伏見に連絡をしたら、大学にいますと返信が来たので荷物を携え大学へ。ゼミ室は開いてなかったから(課題出してんなら開けとけよ)、クソ寒い学食で待ち合わせ。ある程度いるなら熱いお茶が必需品だ。

「朝霞クーン」
「悪い伏見、呼び出して」
「ううん、ちょうどキリ良しになったから。どうしたの?」
「ああ。これ、地元のお土産。よかったら」
「えっ、わざわざありがとう。 ってか髪長っ!」
「ああ、放置してたら伸びてた」
「でも、あたしと朝霞クンくらいの距離感の友達で、こんなにいいお土産もらっちゃって何か申し訳なさもあるんだけど」


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【SSS】無言の飯テロ戦争

 バイトから帰って、さて今日の夕飯はどうしたモンか。そんなようなことを考えていると、突然スマホに通知が入る。荷物や上着を床に軽く放り、座椅子に背中を預けてそれを確認すれば。

「あの野郎」

 突然送られてきたのはカリカリに焼かれたベーコンと缶ビールの写真。最近は写真を撮るにもSNS映えがどうしたってやたらうるせえが、今送られてきたこの写真はSNS映えもクソもないベーコンとビール。


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【SSS】会議も現場もライブ感

「こんにちは〜」
「ん、ようこそ」

 やっぱりこのビルはいつ来ても緊張するネ。俺がこのビルに足を踏み入れるのは、対策委員解散の日以来。春の番組制作会の後、ここから持ち出した機材を搬入するためにやってきたのが最後。
 恐る恐る6階の中会議室に足を踏み入れた俺を迎えてくれるのは、定例会議長の松岡クン。松岡クンの隣の席が空いてるけど、上座は星ヶ丘の席じゃないだろうし、え〜っと、どうしよう。


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