「……っンだとこの野郎…!」
あ、これはヤバい。高ピーがガチだ。俺は、これから本格的なブース戦争が来るんだろうなという予感を胸に秘めた。いや、戦争はとっくの昔に始まってたんだ。ドンパチやるのが今日からなだけで、水面下ではずーっと2人の戦いが続けられていた。
とうとう緑ヶ丘大学でも大学祭が始まった。MBCCでもこの日のためにDJブースと食品ブースの準備を念入りにしてきた。食品ブースは例年通り焼きそばを売るんだけど、この売り上げが打ち上げのグレードに直結するから高ピーの商魂に火がついてたんだ。
自分たちの番組やブース、それから俺と高ピーは大祭実行さんのステージの手伝いなんかで忙しくなるから、比較的緩めなうちに学内を回ってみようよという話になっていた。高ピーからは、GREENsの唐揚げを食べようという提案があった。俺はそれに二つ返事で了解して、ブースに行きましたよね。
さて、国立星港大学でも大学祭が始まった。大学祭は金土日の3日間に亘って行われる行事で、人が多いのは土日になるだろうか。今日は金曜日だからか歩いているのも内部の人間の方が多いように見受けられる。
オレたち岡本ゼミはカレーのブースを出展している。それというのも、高井の阿呆が1人で突っ走ってゼミでブースを出すなどと言いやがったのだ。やりたければお前ひとりでやれと全員抵抗したが、気付けばカレーの試作や店番などについていて、十分巻き込まれている。
巻き込まれと言えば、オレは明日……土曜日の夜に行われる中夜祭でライブをやることになっている。春山さんの気紛れでバンドに加入させられたのだ。それも抵抗したものの、向こう3ヶ月のシフトをA番オンリーにすると言われれば、折れざるを得ず。