「ねえねえたいっちゃん、年末と言えば音楽だと思わない?」
とある日のバイト後、唐突に青山さんに引き留められる。そして半ば強制的に連れ込まれたファストフード店で始まる話だ。年末と言えば音楽。紅白然り、第九然りでそれ自体に異論はない。もっと言えばニューイヤーコンサートなんかもあるから、年跨ぎで音楽というのはご尤も。
「それはわかりますけど、突然どうしたんですか?」
「なんかね、わちゃわちゃしたいなって思ったの」
「わちゃわちゃ、とは」
「たいっちゃんさ、俺が学祭で新しくバンド組んだの知ってるでしょ? って言うかこないだ映像見せたよね」
「はい。いいバンドだと思います」
「だけどさ、一応学祭までの期間限定バンドだったワケ」
「もったいないと思いますよ」
「でしょ? だから、もうちょっと何かやりたいなと思ってさ」