「うっわ、何だこれ。めちゃ美味そう」
「味も美味しいから、是非食べてください!」
「それじゃあ、いただきます」
今日はゼミでやっているペア研究のレポートを進めていた。ゼミでは1年をかけて卒論でやる自分の研究テーマとは別のテーマをペアで研究することになっている。俺は伏見と組んでやっているんだけど、春学期はステージばかりでほとんど伏見に投げる形になってしまったのだ。
さすがにそれではいけないと、大学祭が終わって部活を引退した今では今までの分を取り戻すかのように調べ物をしたり、自分の足で稼ぎ回ったりしてレポートの材料を集めている。伏見はまだ映研の現役脚本家だし、それにも身を入れて欲しいという気持ちがある。伏見の書く話には味があって好きなんだ。
で、そんな勉強の合間に伏見がポテトパイなる物を焼いて持ってきてくれた。「そのままでも食べれるけど、朝霞クン家のオーブンでちょっと焼き直せばもっと美味しくなるよ」とのことだったので、俺の部屋で休憩ついでの夕飯を。せっかく作ってくれたんだから、一番美味い温度で食うのが礼儀だろう。難しいけど。