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【SSS】rendezvous ethics

「はい、全員来てるかな?」
「せんせー、 のさかくんがまだきてませーん」
「ちょっと待てこーた、ウソを言うな! はい、います! 野坂います!」
「いない奴はいないかな? 返事をするんだよ」

 午後5時、向島大学サークル棟前。MMPではサークル解散時に毎回このサークル棟前の玄関先で解散の挨拶をするんだけど、今日はいつもより2時間ほど早い挨拶の格好だ。とは言え今やっているのは解散の挨拶ではなく集合確認だ。今日は午後5時にサークル棟前集合という話になっていたから。
 ただ、言ってしまえば今日は金曜日で、サークルの通常活動日だ。特に頑張って集合しようとしなくても、いつも通りにサークルに顔を出す感覚でいれば十分間に合うはずなんだ。それなのに、圭斗が「いない奴はいないかな?」というお馴染みのヤツをかましてくれる意味だ。


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【SSS】型破りのガールミーツボーイ

「うっわ、何だこれ。めちゃ美味そう」
「味も美味しいから、是非食べてください!」
「それじゃあ、いただきます」

 今日はゼミでやっているペア研究のレポートを進めていた。ゼミでは1年をかけて卒論でやる自分の研究テーマとは別のテーマをペアで研究することになっている。俺は伏見と組んでやっているんだけど、春学期はステージばかりでほとんど伏見に投げる形になってしまったのだ。
 さすがにそれではいけないと、大学祭が終わって部活を引退した今では今までの分を取り戻すかのように調べ物をしたり、自分の足で稼ぎ回ったりしてレポートの材料を集めている。伏見はまだ映研の現役脚本家だし、それにも身を入れて欲しいという気持ちがある。伏見の書く話には味があって好きなんだ。
 で、そんな勉強の合間に伏見がポテトパイなる物を焼いて持ってきてくれた。「そのままでも食べれるけど、朝霞クン家のオーブンでちょっと焼き直せばもっと美味しくなるよ」とのことだったので、俺の部屋で休憩ついでの夕飯を。せっかく作ってくれたんだから、一番美味い温度で食うのが礼儀だろう。難しいけど。


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【SSS】情報センター・イン・トラブル

「ここから先は他校生は入れないンで。ジャ、さいならー」

 情報センターの受付から見えるのは、冴さんが誰かに挨拶をしている姿。その冴さんはまっすぐこっちに向かってきて、事務所に入ってきた。はよーごぜーやーすといういつものちょっと崩れた挨拶だ。

「やァーミドリ。今他に誰かいヤすか?」
「B番に春山さんがいて、もうちょっとしたら林原さんが来ませんかねーっていう感じですね」
「そースか、りょーかいス。支度したら代わりやーす」
「はーい」


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【SSS】こんな顔してどんなノリ

「ねえねえたいっちゃん、年末と言えば音楽だと思わない?」

 とある日のバイト後、唐突に青山さんに引き留められる。そして半ば強制的に連れ込まれたファストフード店で始まる話だ。年末と言えば音楽。紅白然り、第九然りでそれ自体に異論はない。もっと言えばニューイヤーコンサートなんかもあるから、年跨ぎで音楽というのはご尤も。

「それはわかりますけど、突然どうしたんですか?」
「なんかね、わちゃわちゃしたいなって思ったの」
「わちゃわちゃ、とは」
「たいっちゃんさ、俺が学祭で新しくバンド組んだの知ってるでしょ? って言うかこないだ映像見せたよね」
「はい。いいバンドだと思います」
「だけどさ、一応学祭までの期間限定バンドだったワケ」
「もったいないと思いますよ」
「でしょ? だから、もうちょっと何かやりたいなと思ってさ」


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【SSS】感情ジェットコースター

「おはよう、こーた」
「菅野先輩、悲壮感に溢れていますがやっちゃんがどうかしましたか?」
「あ、ヤスのことだってわかった?」
「まあ、会う度やっちゃんの話しかしてませんからねえ」

 ここ1週間、ヤスが情緒不安定だった。先週の土曜日、俺はカンと星羅の家に行っていて、スタジオ合わせをしたりきららを含めた4人でゲームをしたりして遊んでたんだ。星羅ときらら姉妹もゲーム好きだから、俺やカンとは話が合うんだ。だけど、そこに急遽ヤスが合流したんだ。
 土曜夜、俺たちに合流したヤスは初っ端から大きな溜め息。それを星羅が「幸せが逃げるんだ」と窘めていたけど、ヤスはしょんぼりとした様子。話を聞けば、翌日曜に憧れの彼と会って学祭の映像を見せる約束をしていたそうだけど、それが彼の風邪で延期になってしまったと。


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