あれだけ賑やかだったのがまるで夢だったかのように静かになった公園。ヒグラシがカナカナと鳴いている。夕方6時、空はまだ明るい。だけど俺はまだ夢うつつ。
ステージも、その後の班長会議もすべてが終わって、朝霞クンは腰が抜けたようにすとんとベンチに座り込んだまま動かなくなってしまった。よくあるステージ後の気絶にも似た――ううん、今回は意識がある分まだいい。
「朝霞クン、まだ帰らない?」
「ん……帰ろうとは思ってる」
「立てる?」
「確か、誕生日を祝うからって呼び出されたんだよな俺は」
「うん、そうだね」
「なのに何で俺が台所に立ってるんだっていう」
「だって、もうエイジの庭みたいになってるじゃん」
今日はエージの誕生日。だからたまにはみんなでぱーっとやろうってことでタカティの部屋に集まってる。夏合宿の関係で仲良くなってる子たちもみんな集まったらいいんじゃないかなってもうわちゃわちゃ。
ハナは同じ1班の奈々を呼んでみた。タカティも4班のユキちゃんを。星ヶ丘勢も合流して6時にやって来るらしい。1年生はまだそこまで絡みがないけど、夏合宿を前に少しくらい仲良くなっといてもいいかなーって。
今回の主催で家主のタカティは、エージにキツく言われてやっと取り込んだ洗濯物を畳んでいる。ハナはお酒の準備をしていて、今回の主役のはずのエージは台所で水仕事からの料理。