「それじゃあ、これからミキサー講習を始めます。緑ヶ丘大学MBCCのカズこと伊東一徳です。よろしくお願いしまーす」
初心者講習会も折り返しだ。午前は全体講習と見本番組をやって、俺たち対策委員がおかずを持ち寄った弁当も無事に食べることが出来た。午後からはアナウンサーとミキサーに分かれてそれぞれに少し突っ込んだ講習を行うことになっている。
「それじゃあちょっと聞いてみるけど、ラジオやるにあたってアナウンサーとミキサー、主役はどっちだと思う?」
伊東先輩からの質問。簡単そうでこれはとても難しい。1年生は感覚で答えたっていいと思うけど、1年間経験を積んだ俺たち2年はその解に根拠を添えなければならない。その解にたどり着くまでの過程を。
「それじゃあ、これからアナウンサー講習を始めます。担当するのは青葉女学園大学ABCのヒビキこと加賀郷音です。よろしくお願いしまーす」
初心者講習会も折り返し。午前は全体講習と見本番組をやって、お昼ご飯も食べた。午後からはアナウンサーとミキサーに分かれてそれぞれに少し突っ込んだ講習を行っていくことになる。
うちや圭斗が懸念していた三井の乱入ということも現時点では特になく、至極平和に講習会は続いている。最初に全体講習をやった教室では伊東の担当するミキサー講習が、そしてその隣の教室でアナウンサー講習が行われている。
うちは去年、対策委員としてアナウンサー講習を聞いていた。今年も教室の横に対策委員の席という物が設置されていて、そこでゆっくりと講習を聞こうと思ってましたよね。ヒビキがどんな講習をするのかなーってさ。
「ちょっと、機材そっちちゃんと繋げてるー?」
「こっちは多分大丈夫」
「ツカサ、アナウンサー講習用の教室は設営オッケー?」
「今やってるトコ。資料も机に置いて来てるし、大丈夫だと思う」
「ちょっとハマ男、アンタもいるなら手伝ってよ」
「よしきた! 何すりゃいい?」
初心者講習会の日がいよいよやって来た。結局、一昨日のメールから三井先輩に関する動きはなく今日という日を平和的に迎えたのだけど、それでもやっぱりいつ何が起こるかわからないので警戒するに越したことはない。
会場となっている星大には対策委員と講師の先輩方、それからつばめの手違いで対策委員の集合時間に来てしまった青敬の真司がいて、やいやいと機材や教室の準備をしている。今回は星大の施設と機材を使わせてもらっている。