別々のふるさとから
偶然同じ時期に引っ越して
この街で
ほんのちょっとすれ違っただけ
それを僕は運命だと思った
それを君は笑って否定した
運命なんか信じない、笑ったあと
そう目を伏せて寂しそうに言った
ふるさと大好きな僕
ふるさと大嫌いで棄ててきた君
幸せの向こうには、なにも無く
これから幸せになる君には、未来があった
このまま幸せの線路上歩いてていいのか?
幸せのほうがいいよ、闇は冷たい
誰かを殺すような瞳で窓の外を見る君
恐くて聞けなかった
ふるさとでどれだけ傷ついたのか
目の前の君は、確かに笑顔で賢くてなにもないようなのに
見えない心は危険を孕んでいる
接点の無い僕らが
別々のふるさとから、この街に来た
意味があると思うのは
自意識過剰だろうか
時々帰郷する僕
当たり前のように、彼女は帰郷しない
ねえ、出会いには意味があると思うんだ
僕の幸せを君の心の穴に注ぎ続けるよ
君が心から笑えるようになるなら
君の無理な笑顔は、僕はこれ以上見たくない
――たぶん、僕は、君が好きだ