【すわり金魚への誘い(いざない)・その1】

 〔ふぁんそんテクニック〕の重要な技に〔すわり金魚〕がある。
 坐ったまま体を左右に動かしながら、いわゆる「金魚体操」のように背骨や体全体をゆらゆらさせていく技である。
 原理(技術論)は実に簡単で、ある支点になる場所、例えば第7頸椎(首の付け根)を左右に動かせば、それより上の脊椎、この場合、頸椎が海の底の海草(ワカメ)が波になびくように、しなやかに揺らされるというものだ。
 これは支点を第7胸椎(だいたい肩甲骨の下のライン)や第3腰椎(ほぼ臍の真後ろ)に移しても同じことで、それより上の脊椎がしなやかに揺らされることになる。
 しかし、しなやかに揺らされる為には、頸椎や胸椎、腰椎などが緩んでいなければならない。
 ここが棒状では海草のようにはなびかず、丁度メトロノームのようなうごきになってしまうのだ。
 緩めるための技が緩んでいないと出来ないというのは矛盾である。
 棒状に固まっている脊椎を海草のようにしなやかに揺れる脊椎に変えていく技が〔ふぁんそんテクニック〕なのだから、棒状から海草状に変えていくための技術論をもう少し掘り下げなければならないだろう。