《ふぁんそんこそ気功の命・4/気功の山を歩こう!》


【ふぁんそんテクニック】

(五)
 脊椎は骨盤より上の腰椎、胸椎、頸椎の24の小さな椎骨がダルマ落としのように積み重なっているだけなので、ゆるめ方さえ解ればさほど難しくはないのだが、問題は腕のゆるめ方、動かし方だ。
 腕は、上腕も前腕も長い骨で、肩関節、肘関節、手関節(手首)と、関節も少ない。
 この腕をしなるように波打つように動かすことは出来るのだろうか。
 僕は、関節だけを残し、他の筋肉や腱などを取り除いて考えてみた。
 すると、それまで肩にぶら下がっていると思われていた腕は胸板(胸骨)の上で、胸鎖関節からぶら下がっていることがわかったのだ。
 首の下の鎖骨の内側が胸板(胸骨)に着き、そこから鎖骨がぶら下がり、その鎖骨の外側の肩関節で上腕がぶら下がり、その下で肘関節に前腕がぶら下がり、そして手関節(手首)に手がぶら下がっているのだ。
 これを脊椎と同じように考えてみると、胸板が骨盤に相当し、その胸板を動かせば、胸鎖関節から揺れることになるのだ。
 両手を横に伸ばして掌を前に向け、胴体)胸板)を前後に動かしてみれば、それが解る。
 胴体の前後の動きによって鎖骨が胸鎖関節の揺れによって動かされ、その鎖骨の動きによって肩関節が前後に動いている。
 その肩関節の前後の動きによって肩関節の中が揺れて上腕が前後に揺れるように動き出す。
 それが肘関節の揺れによる前腕の動き、手関節の揺れによる手の動きと繋がっていくのだ。
 胴体を動かさない場合は、鎖骨の下の大胸筋を収縮させたり伸展させたりするように動かすことで鎖骨は動き、あとは同じように手の先まで動き(揺れ)は繋がっていく。
 大胸筋での蝶の羽ばたき、特に胸板に付着している部分の大胸筋を動かすことで、腕全体も釣り竿のような動き(揺れ)を作り出していくことが出来るのである。
 腕の動きは、昇降開合や拉気(ラーチー)、鳥の舞を含め、太極気功18式や大雁功など様々な場面で用いられるので、僕は、それらの練習の時に、胸板から動き、その動きが手の先に向かって伝わっていくように動いているかといったことを確かめながら練習していったのである。
 五合目までは、この練功で良いのだが、それ以降になると、更に違った内容が組み込まれて来るのである。