【〔気功流手当て〕和気の気功観・気功論/4】
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《気功流手当て》
気功の練習、即ち、練功には大きく分けて五つの練習法があります。
放鬆(ほうしょう)、意守、貫気、採気、練丹の五つです。
これらの練習法の説明は別の箇所で詳しく行ないますノで、簡単に述べておきますと、放鬆は体の中を緩め、気の通り易い体を作る練習で、意守とは、体内の一部で気の感覚を体感できる脳を作り、体のあらゆる箇所で気の感覚が体感できるようになる練習です。
貫気とは手足や胴体などで盾軸に気の感覚を動かし、体感する練習で、採気とは、外の気を体のあちこちから主に胸の中に採り入れ、その採り入れた気を丹田に集めていく練習です。
最後の練丹は、採り入れた丹田の気を練って、命の底力である丹田力を強くしていく練習になります。
これらの練習法の中で〔気功流手当て〕は胸やお腹の皮膚より中の感覚を体感していく練習なので、〔意守法〕の一つと言えるでしょう。
さて、〔気功流手当て〕は、名前の通り〔手当て〕なのですが、、普通の手当てとは違います。
私たちの掌は、虫たちの触角みたいなものですから、掌の触覚としての感覚は、他の全身の皮膚より感覚的に発達しています。
しかし、この〔気功流手当て〕では、この掌の感覚を用いずに、掌は自分とは別の物体、言わば懐炉(カイロ)のように用いるのです。
その懐炉である掌を胸板やおなかに当て、体側から掌の温かさを体感しにいきます。
すると、体側の皮膚から皮下に温かさが染みこんできます。
つまり、体の皮膚や皮下の温かさを感じている訳で、これは既に五感としての触覚から体性感覚を体感する脳に切り替わっていることを示しています。
この体性感覚を用いる脳を作ること、その感覚に没頭し、脳波をα波にし、自律神経を副交感神経優位の側に移行していく訓練、これが〔気功流手当て〕の目的なのです。
●実習
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両手を軽くゆっくり擦り合わせるか〔気のボール〕を作って、掌を温かくしましょう。
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次の箇所に掌を当てて、皮膚から皮下、体内が温かくかんじられるまで当てておきましょう。
*片手でも両手を重ねて当てても構いません。
・天突(左右の鎖骨の間の凹み)の下の胸板。
・両胸(乳房)の間の胸板。
・上腹部の中央。
・関元(臍から指四本分の幅だけ下がったところ)を中心とした下腹。
*全て経穴名で記せば良いのかも知れませんが、掌を当てる部位も体感するところも、点ではなく、面若しくは立体的な層なので、大まかな場所にしておきました。
〔関元〕という経穴名は丹田力を強くしていく上での必須の経穴になりますので、覚えておきましょう。
〔気功流手当て〕は、体性感覚を開発し、更に体性感覚に没頭することで脳の使い方を変え、体内を副交感神経優位にし、意念(気持ち)をそれぞれの部位に向けることでその部位を体感できるようになるという気功の基礎的な練習なのです。