《最高の坐禅瞑想法・小周天、胴体周天/気功の山を歩こう!》


(一)
 養生気功(内気功)の最高峰は〔小周天〕だと言われている。
 しかし、僕がこの〔小周天〕が出来るようになったのは、気功を習い始めてから五年余り過ぎた頃だったと記憶している。
 何故に出来なかったのかは、これまでお話してきたように、体のゆるめ方(放鬆法)や体幹の仕方(意守法)などの気功の基本的なてんでの生理学的な理論と具体的な技術論がなかったために、具体的な技が解らなかったからだと思う。
 だからこそ、僕はその技を探究し続け、今に至っているのだ。
 僕が教えられていた頃の小周天は、督脈で気を吸い上げ、任脈で吐き降ろし、それを繋いで体幹部で気を回す練功だとされていた。
 鍼灸師だった僕が経穴名に囚われていたのと同じで、脈、任脈という経絡名にも囚われていたのだ。
 しかも、督脈が尾骨の先端から始まり、脊椎を上がり、頭頂部の百会を通って上顎の歯茎まで来ていて、任脈が会陰から腹部、胸部の正中ラインを通って舌の根元(下本)まで来ているので、それを繋ぐために、督脈と任脈の架け橋として舌先を上の歯茎に当てるという風に指導されていた為に、更に督脈、任脈に囚われてしまったのかも知れない。
 それを解決したのが、気の実感は立体的(空間的)であるという実感であった。
 経絡名を用いてはいても、実は、その概念は小さなポイントではなく面であるという理解と共に、経絡は立体(空間)である、つまり、〔気〕という体積を持っているという実感的な理解であったのだ。


(つづく)