《ふぁんそんこそ気功の命・3/気功の山を歩こう!》


【ふぁんそんテクニック】

(四)
 前項で述べた鋼や釣り竿のような体にするには、或いは、その状態で動けるようにするにはどうすれば良いかを僕は考えた。
 脊椎は、頸椎七椎、胸椎十二椎、腰椎五椎が椎間板を挟んで積み重なっているだけなので、骨盤さえ動かせば、脊椎はしなるように、波打つように揺れる筈だ。
 しかし、その脊椎が箸や棒のように硬く突っ張っているのだ。
 箸にも棒にもかからないとはこのことか(笑)。
 そこで、肩のライン(第七頸椎)、胸のライン(第七胸椎)、脇腹のライン(第三腰椎)のそれぞれの段階で動かし、それより上の脊椎が揺れるように、一つずつ練習することにした。
 それが〔すわり金魚〕と〔すわりイルカ〕だ。
 問題は緩めるための動かし方だった。
 動かしていくラインの中心、例えば肩のラインなら第七頸椎になるが、それより上の頸椎(この場合だと頭のてっぺんの方が感覚は取りやすい)が、その第七頸椎より外に振れないようにすることなのだ。
 右肩から横に突き出していくと(第七頸椎を右に動かしていくと)頭は左に倒れながら引っ張られていく。
 そして肩の動きが止まりかけると頭は惰性(慣性の法則)で起き上がってくるが、その時、頭のてっぺんが第七頸椎のラインより右に行かないうちに、左の肩を横に突き出していくようにする訳だ。
 釣り竿のようにしなるように振る訳ではなく、波打たせるようにしていくのだ。
 この動きを、僕は〔揺り戻し〕と呼んでいる。
 揺り戻し〕的に動かすことで脊椎はS字状に揺れるのだ。
 そして大事なことは、スワイショウの場合と同じで、動かすのではなく、ある部分の動きによって受動的に動かされている(揺らされている)脊椎の揺れを体感することなのだ。
 因みに、動かし方も、そのための技術論も知らなかった僕は、この動きを身につけるまでに五年近くの年月を要してしまったのである。