八樹くんのご両親に紹介してもらって、どうにか気に入ってもらった、みたい。
すると、必然的にウチの親にも紹介しなければならないんだけど。

ウチの家庭は少し複雑だった。
母親は随分前に出て行ってしまって、父子家庭という形になる。
問題はその父親は、「ママ」なのだ。

一応、その事は八樹くんに話してはいるのだけど、いざ会ってみて失望されたら悲しい、どころの話ではない。


「ママ」と言うからには夕方からバーに出勤するから、ママのお店が休みの日にちょっと無理してもらって、八樹くんを紹介した。

最初こそ、ママの威力に押されていた八樹くんだけど、会話を進めるにつれて、ママと会話が弾むようになった。
ママは学生時代、剣道をやっていてなかなかの腕前だったらしい。それは私も初耳だった。

ママは私をとても大事にしてくれる。
話してる内に、そのママが八樹くんを認めてくれた。
私は嬉しくてママに抱き着いていた。


「この子は気分の浮き沈みが激し目だけど、長い目で付き合ってやってね」


と、注意事項を伝えると、八樹くんは嬉しそうに頷いた。

「手放すつもりはありません」
「あら!愛されてるわね、朱華」
「っ!うん!!」

八樹くんの言葉に嬉しさを隠せず、照れながら頷いてしまった。



全てを受け入れてくれるのかな。