「源、悪かったなドタキャンして」
「いえ、病気なら仕方ないですよ。朝霞先輩、もう体はいいんですか?」
「ああ。だいぶ良くなった」
源から観劇に誘われていたのだけど、その当日になって熱を出してしまったものだからキャンセルした。本当に見たかったんだけど、体はしんどいしバキバキだし、外に出て動ける状態ではなかったのだ。
あんまり酷いモンだからインフルなんじゃねーかと思って病院に行ったらただの風邪だったときの恥ずかしさだ。体がバキバキで痛かったのは、あまり長い時間同じ姿勢でレポートを書いていたからだと思われる。
薬を飲んで、(大騒ぎをした山口が作りに来た)卵粥を食べて大人しくしていたら熱も引いて動けるようにはなったけど、見逃した舞台は帰ってこない。どうしてこのタイミングだったのか。神のイタズラか何かか。
「はい、お土産でーす」
ばさーっと机の上に広げられたのは、烏丸さんが買って来てくれたお土産の数々。話によると、いつも野菜をくれている友達が一度実家に帰るというのでついて行ってみたそうだ。
烏丸さんは西京出身だけど、地元のお土産とか、有名なものはあんまり知らなかったからお土産を選ぶのが楽しかったんだーとうきうきしながら話している。