それじゃあかんぱーいと宴が始まって小一時間ほどが経っただろうか、インターフェイス4年生の忘年会はすっかりあったまっていた。4年にもなるとやれ就職はどうしたなどという話が主だってくるのはご愛敬。
今日の幹事は毎度おなじみ向島のマーだ。と言うかこんな集まりをやろうなんていう発想を持つ奴はウチの学年じゃマーくらいしかいない。3年生にも洋平くらいしかそれを実行に移そうという奴はいないらしいけど。
マーはこの辺じゃちょいちょい有名な印刷系の会社にスパッと就職を決め、あとは綺麗なお姉さんと出会うための冷やかし就活を続けていたそうだ。ただ、お麻里様が言うにはマーは就職より卒業の方が危ないらしい。
「マーさんまだ卒論0文字なんでしょ? せっかくいいトコに就職決めたのに卒業出来なきゃ意味ないじゃん」
「まーまー何とかなるだろって」
「みちゃこからもマーさんに何か言ってあげてよ」
「がんばれー」
「ぬるっ」
いつものようにいつもの店の、いつもの席で飯を食っていると、変わった奴から電話がかかってきた。ちょうど口の中のものを飲み込むところだったし、急いで飲み込み水を飲む。
「はいもしもし」
『あー、朝霞か。お前今大丈夫か』
「高崎。突然どうした。外で飯食ってるけど、まあ大丈夫だ」
高崎とはこないだ戸田伝いに酒を飲む機会があったけど、普段はそこまで絡む機会がある方ではない。やっぱ絡む機会が多いのは定例会の連中だ。通話が始まると、店員さんがこちらに興味を持ち始める。