「ただいまー」
「おかえりなさい茉莉奈。待ってたんですよ」
「えっ、どしたの実苑」
買い物から帰ると、どうやら私のことを待っていたらしい実苑が玄関先まで出迎えてくれる。手には煌々と光るスマートフォン。実苑とは親の再婚という都合で姉弟になったばかりでまだ1年も経っていない。それでもって、実苑は一人暮らしをしているから家で一緒になると少し変な感じがする。
「聞いてよたまちゃん酷い話なんだよ」
「どうしたのアヤちゃん」
冬のコミフェジャンル一覧と書かれたインターネットのページを前に、アヤさんが悲痛な面持ち。俺は紅茶をアヤさんと慧梨夏に運びながら、聞いてもわからないだろうその話を何となく耳に入れる。
「前にさ、ちょっと覗かせてもらってるバンドの話したでしょ?」
「ああ、あの相関図の」