スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。


【SSS】この場所では油断と呼ばない

「おー、菜月ー!」
「亮介ー、去年ぶりやんなー! えっと、ヤスは?」
「ちょっと遅れるから先やっといてーやって。店行くか」
「やね」

 夏振りに実家に帰ってきた。年末だからと言って特に何をするでもなく、強いて言えば悪友と忘年会をやるくらいだ。悪友の片割れで、今は青丹エリアに出ている橘亮介とまずは落ち合う。奴は高校の同級生だ。
 こっちに友達があまりいないというか、わざわざ会おうと思うような間柄の人間がいないと言う方が正しいかも知れない。進学の度に友達関係はリセットされるけど、それで残る人は友達と自信を持って言える。


続きを読む

【SSS】三日坊主の雑巾がけ

 どたどたと、廊下を走るような音で目覚める。今日も冷えヤすねェ。これならマイナス4〜5度ってトコすかね。枕元の目覚まし時計に目をやると、時刻は朝の6時過ぎ。こんな時間からどたどた走るような用事はそうそうないはずなんすケド。
 冷えた床がすっかり目を覚まさせる。何がどたどた言ってるんだと部屋から出てみれば、そこには古き良き田舎の原風景……や、田舎の原風景でもなかったスわ。昔の学校スかね、雑巾がけなんて。

「りっちゃんおはよう」
「……はよーごぜーやす。つか、朝ッぱらから何やってンすか」
「掃除だよ」
「や、それは見りャわかるンすけど、どうして掃除?」
「お母さんが朝ごはん作ってたから、何か手伝うことはないかって聞いたら何もないって言ってたんだ。でも、しばらくお世話になるから掃除をさせてほしいって言ったら雑巾の場所を教えてくれたんだ!」
「へェー……そーなんスかァー……」


続きを読む
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2016年12月 >>
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31