公式学年+2年
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そろそろ日付が変わろうかという時間帯。ガソリンスタンドの方にはたまに人が来るけどカフェの方はまばら。人が来ないことはないけど、すごーく長居するかテイクアウトで済ませるかのどっちかという感じ。
誕生日なのにバイトかーと文句を言ってみたけど曜日の巡り合わせだからどうしようもないし、誕生日だからシフト入れませーんなんて言ったらデートか何かを疑われる。それはそれで面倒だしそんなイベントは縁遠い。
「いらっしゃ、……あれっ!」
「あ、果林先輩お疲れ様です」
「リ〜ン〜、聞いてくれ〜」
「どうしたんです、ゾンビのような顔をして」
「丸の池公園近くにライブバーが開店するんだけどよ」
「読めました、それ以上は結構です。オイシイ公演があるんですね。で、それに行きたいからシフトを調整してくれ」
「ったくお前は可愛げのない野郎だなあ!」
こうなると春山さんは留まることを知らない。行きたいライブにはどんな手段を使っても行くし、遠方へ行くことになれば宿や交通手段より先にチケットを確保するのは常識だとドヤ顔で言う姿は何度も見た。
今回はそのライブバーとやらが開店するのが丸の池公園近くということもあって宿や交通の心配は不要だが、チケット争奪戦はどうやらこれかららしい。行けるかどうかも決まっていないのにシフトの調整か。職権濫用もいいところだ。