「はー、疲れたー。飯だ飯」
「はい。いただきましょう」
学生食堂のアルバイトを始めて約半年。夜の仕事が終わって食べるまかないのありがたみが身に染みる今日この頃。今日の夕飯は生姜焼き定食とLサイズの白飯。
俺の向かいにひじきの小鉢とほうれん草のおひたし、それからSサイズの白飯と味噌汁を並べているのが学食バイトの同期で、同じ社会学部の浦和実苑。
「康平君、ごはんを半分食べてください」
「おう、サンキュー」
「第1学食はSサイズでも大盛りですよ、本当に」
「棲み分けっちゃ棲み分けの結果なんじゃん? 俺にはマジでありがたいし」
「布団がさあ、重たいんだよね」
単位交換制度とやらで毎週火曜日は緑大の授業を受けに来ている長野と飯を食うようになった。5月頃からひと月ほど入院していたらしく、食える物が限られているとかで今食ってるのも素うどんSサイズに50円で温玉をトッピングした物。
まだ避けた方がいい段階だからと俺の丼の上に乗せられたかまぼこを食みながら、入院中のことや退院してからの生活についての話を聞く。長野は見た目こそ根暗で陰鬱だが、実は話し好きでお調子者だ。