「いっちーせんぱーい、来ましたー」
「お邪魔します」
今日は無制限飲みを開こうとLの部屋に集合。いつもなら幹事は高ピーだけど、今日は俺が幹事としてこの会を仕切っている。無制限飲みは突発的に行われる宅飲みの総称だけど、誕生会の側面もある。何を隠そう、今日は高ピーの誕生日。
先に別件で買い物をしていたらしい果林とタカシに買い忘れていた物を頼んだり、俺はと言えばコンロがひとつしかないLの部屋での料理に奮闘。電子レンジをフル活用するよね。Lは酒と餃子の準備に忙しくしている。
「1回だけしか着ないのは勿体ないので普段からも着れるのがいいかなと」
「ですよねー。まあでもタカちゃん線細いし女物でも多分イケるよ」
「そうですかね」
今日は果林先輩と買い物に出ている。その買い物というのが、ひょんなことから出ることになってしまった大学祭の女装ミスコンに必要な物を揃えるという……何とも言えない買い物で。
女装と言うだけあって、やっぱりある程度はそれらしく見えるようにはしなくてはいけない。ただ、コスプレ用のあからさまな服や一度しか着れないような服にお金を使うのも勿体ないなといつもの病が発症していて。
果林先輩は俺の線の細さを理由に何でもイケるとは言うけれど、俺ってそんなに細かったっけと首を傾げて。伊東先輩だったらまあ、確かに線は細いし女物の服でも普通に着れそうだけど。俺はさすがに、とまだ思っていたいワケで。