信じられるか、否、これはきっと夢だ、夢に違いない。目覚めたら土曜日の朝で、俺は青女に向かうためにバタバタと自転車で駅に向かい、それからこーたとヒロと一緒に馬車馬のように働かされるんだ。
だけど今、俺の隣には菜月先輩がいらっしゃって、机の上にはたこ焼き器と缶チューハイ。そしてテレビが映し出しているのは野球の頂上決戦。見るから付き合えと言われれば、俺が断れるはずもなかったのだ。
「常識的に考えて、贔屓が出て無くたってシリーズは見るだろ」
「見ます」
「と言うか、贔屓が出てる時より肩の力が抜けて楽しく見られる」
「わかります」
「というワケでたこ焼きを焼こうと思う」
「えっ、ちょっと待ってそんな事情があるのにこんなトコで何やってんの」
「そうだよマーシー、今すぐ行かなきゃ。誰か電車の時間計算出来る?」
今日は青女の大学祭ということで、俺はヒロとこーたとともに手伝いとして駆り出されていた。元はと言えばヒロが啓子さんにしつこく大学祭について聞いていたのが発端。でも、いつの間にか手伝いをすることになっていたのは笑いますよ。
手伝いの主な内容としては、ステージの大道具運搬だとか、男手がいるようなこと。青女でそういうのが比較的得意なのは福島先輩と直クンだけど、この2人はミキサーをやっていて手が放せないことも多々ある。