「おう、高崎そんじゃーな! 帰ってきたらレポート添削よろしく!」
「うー……」
乗り物酔いでグロッキーになっている高崎が車から降りると、いよいよここから本格的な帰省が始まる。
丸の池ステージも向舞祭も終わり、ようやく俺も実家に帰ることが出来るようになった。どうやら向舞祭を見に来ていたらしいシンこと飯野晋哉と高校振りに再会して、話が盛り上がった結果シンの車で一緒に買えることになった。
何か成り行きで俺と山口、それからシンと高崎の4人でうちの近くの髭でちょっと集まっていて、軽く食べたりここまでのことを話したりして現在に至る。シンが向舞祭に来ていたのはゼミのレポートのためらしい。高崎はそのお付きだとか。
「対策委員です」
盆明けということで、ここらで一度対策委員の会議が開かれた。気が付けば月末の合宿まではあと1週間ちょっと。何気にもう日がない。対策委員はみんな班長として自分の班を持っているのだけど、それだけじゃなくて合宿全体のことにも目を向けなければならない。
それでも、顔を見れば何となく班の状況がわかってしまうこともある。啓子さんや果林なんかは余裕があると言うか、心のゆとりが見て取れる。一方、凶悪な顔つきになっているのがつばめだ。つばめ班はヤバいとは聞いていたけど、そのヤバさが浮き彫りになっている。
これには今日の会議に来ていただいている講師のダイさんも、大変そうだねえとつばめを労い始める始末。だけど、それだけつばめ班のヤバさがガチなのだ。それを相談出来る相手もなかなかいないようで、ダイさんを前に自然とつばめの口から現状が語られ始める。