「ひー、よっこいしょーいちーィ」
「む」
ガラガラと台車を引き摺って、春山さんが事務所に荷物を運んできた。4段、5段ほどある段ボールは、なかなかに重量感がありそうだ。何事だと事務所で待機していた烏丸が目をまんまるくして首を傾げている。
しかし、センターの業務に使う備品であれば、事務所の前まで業者が運搬してくる。スタッフ自身で運んでくるものとなると、余程のことでない限り業務には関係ないはずだ。春山さんが運び込んで来る大荷物というだけで嫌な予感しかしない。
「春山さーん、この箱、何ですか?」
「ダイチ、箱に書いてる文字は読めるか?」
「さすがに読めますよ。「北辰のじゃがいも」って書いてあるんですよね!」
「魔の季節が来たか」
「察しがいいなあリン様よォ。おーい、自習室業務がーとか言って逃げんじゃねーぞ。先のシフトが火を噴くぞ」
「チッ」