《最初の難所は入静を体感するための理論/気功の山を歩こう!》
【入静は体感できるか】
「気功をしている時は入静していなければなりません。
入静のない気功は気功とは呼べないのです。」
僕は師からこのように教えられた。
しかし、気功を始めたばかりの僕には〔入静〕という概念はなく、入静の状態が如何なるものかは理解できなかった。
その〔入静〕の状態の説明として、師は次のような状態だと説明されていた。
「入静している時は、脳波はα波になっており、脳内ホルモンであるβ−エンドルフィンが分泌されています。」
僕は、その説明を聞いても、それがどんな状態なのかを把握することは出来なかった。
それは何故か。
脳波の状態も脳内ホルモンの分泌の状態も、共に自分の感覚として体感することが出来ない事柄だったからだ。
掌での気の感覚や〔気のボール〕の感覚と同じように、〔入静〕という状態も体の感覚なしには体感し、理解することはできない。
では、如何にすれば入静状態、脳波がα波になり、脳内ホルモンのβ−エンドルフィンが分泌されている状態を体感することが出来るのか。
それを解決するカギは〔ふぁんそん掌〕で学んだ「副交感神経」と「体性感覚」だった。
脳波がα波になり、β−エンドルフィンを分泌している時、同時に変化している体内の福交感神経優位の状態を体性感覚によって体感することが、入静の状態を体感として理解するための技だったのだが、これが気功の山を登っていく上での、最初の難所になったのである。