「は〜あ。まったく。嫌になりますね、どいつもこいつも浮かれやがってますよ」
「やァー、ウザドルの僻みスわ」
「何とでも言いなさい。いいんですよ、別に。私にとってはクリスマスなんて年末商戦の一環でしかありませんから」
「へーへー」
「――とか言いながらクリスマスのラブソングなんて流すのやめていただけますぅ〜!?」
こーたは安定の浮かれたカップルしねしね団みたいなことになってるし、律もそれに対するラブ&ピースを緩めない。今日もMMPは平和だ。
流れて来るラブソングは雪を天使の羽に例えてみたり、鐘が鳴ってたり。浮かれてんじゃねーよと思うのは俺も同じだけど、この場合降ってる天使の羽は律とかいう殺戮の天使の物なんだよなあ。
「のこのこと出てきやがったなーあ、リン様よーォ」
「ご丁寧な出迎えで」
インフルエンザと診断されてしばらく休んでいた林原さんが、1週間ぶりにセンターに戻って来た。だけど、春山さんはもちろん黙っていなかったワケで。さーて、物理的な距離を保っておくのがいいかな。
「お前の所為で私の映画ライフが台無しだ!」
「最速は見たんでしょう。なら問題ないじゃないですか」
「前日の復習の時間がカッスカスになっちまったんだぞお前の所為で!」
「アンタなら復習などせんでも頭の中には入っているでしょう」
「気分を上げたいんだ!」
「プレミアで見て0時の最速を見て朝一番で3回目を見られたなら問題ないでしょう」
「それでもお前がシフトに穴を開けまくった所為で余韻に浸ったり復習だったりさらに劇場に行く時間がなくなったんだ! その分返せバーカ!」