「気功治療への道案内」?2(下書き)



 二回目の『静観塾』が始まり、お茶を飲みながら、茉奈が持ってきてくれた山梨土産の信玄餅を戴いた後、私は二人に語り始めた。
 「気功治療の技術には、補法と瀉(しゃ)法という二つの違った技法があるんです。」

 すると、私が次の言葉を発する前に、
「気のボールを当てるだけではダメなんですか?」
と、佳与が訊ねた。
 「気功治療にも、鍼灸治療と同じで、補瀉(ほしゃ)という二つの違った技法がありましてね…。」
 私が言うと、佳与は初めて聞いたようにキョトンとして丸い目を更に丸くして言った。
 「相手の状態によって違った気の当て方があるってことですか?」
 「そうです。
 体が弱っている人には気を補ってあげなければならないし、炎症や痛みなどの邪気がある場合には、それを取り除いてあげなければなりませんよね。
 それが補法と瀉法という違った治療法になるんですよ。」
 「補法は気を補うという治療法で、瀉法は瀉血のように、気を瀉す治療法という意味なんですね。
と、茉奈が頷きながら言った。
 「ふーん、気のボールを当てるだけではダメなんだー。」
 佳与が独り言のようにつぶやいた後、私に向かって顔を上げた。
 「その二つの違った気の当て方について教えて下さい。」
 私はもう少し理論的な話をしてからにしようと考えていたのだが、実習を先にしても良いかなと思った。
 「では、私たちの発する気はイメージではなく、確かな感覚でなければなりませんので、それが体感できるようになる為の練習をしてみましょうか。」
 そう言って、私は二人を立たせた。
 「気は、掌から発する方法と、剣指(けんし)から発する方法の二つがあるんです。」
 「剣指?」
 そう言ったのは、またもちろん佳与だ。
 「示指(じし)と中指(ちゅうし)を伸ばし、他の指を折り曲げた形を剣指と言い、丁度鍼のように真っ直ぐにツボから気を入れる場合に用いるんです。」
 「この剣指が瀉法になるんですか?」
 佳与が自分で作った剣指を見ながら言った。
 「いいえ、剣指は鍼と同じで、補法にも瀉法にも用いることが出来るんですよね。」
 私は答えた。
 そして、
「養生気功の『鳥の舞』の動きなどで、手を降ろしてくる時に、掌から息を吐き出すようにしたと思いますが、その時に剣指を作り、特に中指の先から気を発するようにしてみるんです。」
 そう言って、私は気の発し方を伝え、二人に。剣指で気を発する練習をさせたのである。