「ふんふんふふーん、っとくらァー」
「冴、随分とご機嫌だな」
鼻歌なんて歌って冴はわかりやすくご機嫌だ。確かに今日は土曜日で、テスト期間、つまり繁忙期も抜けたしヒマでヒマでバイトがラクすぎるってーので私もご機嫌ではあるけれども。
実質的住所が大学で、ここにはヒマ潰しに来ていたリン、そしてサークル活動のついでにここに顔を出した川北も冴の浮かれ具合が少々気になる様子。いや、引いてるとも言うか。
「や、今日は実家に帰る予定なンすよ」
「そうか。さぞかし実家にはいいモノが待ってるんだろうな」
「そースねェー。春山さんは実家に戻らないンすか」
「そうだな、実家に帰る連中が空けるシフトの穴を上手いコト埋められたら9月は心おきなく帰れるんだけどなぁー、冴、川北」
「えー!? 俺に飛び火したー!」