「やだ! やーだ! 俺はゼミに出るんだ!」
「いい加減にしなさい飯野! アンタこれまでの出席ボーナス全部持ってるんだから1回出なくたって余裕でしょ!?」
「バカ言うな! 今日出なかったら今日もらえるボーナスがもらえないじゃねーか!」
「前夜祭まで1週間なのにゼミに出てる余裕がどこにあると思ってんの仮にもナンバーツーで現場の責任者が!」
「うるせー! 俺は卒業が危ういんだ! 出席ボーナス全部取った上でゼミにも全部出なきゃ単位貰えるかどうかも怪しいんだぞ!」
「それはアンタがバカだからでしょ!? いーから準備手伝って!」
「や〜だ〜! 助けてくれ〜!」
大学祭だなんだと学内がバタバタしている中、俺たちは同時進行で別のことでもバタバタしていた。社会学部では2年からそれぞれがゼミに所属して本格的な学問を修めることになる。そのゼミを決めるのは今なのだ。
秋学期が始まった頃、学部ガイダンスで各ゼミの説明会やら見学についてのアナウンスがあった。配られた資料を見ながらここは行ってみる、ここは行かないといった具合に候補を絞りながら。
社会学部は現代社会学科、メディア文化学科、社会福祉学科という3つの学科に分かれているのだけど、ゼミは別に学科問わず入ることが出来るそうだ。俺はその制度を大いに利用させてもらおうと考えていた。