「これ、私もかぶってみていいですか?」
「いいよ。はい」
「ありがとうございます」
今日は10月31日、ここ最近ではハロウィンで盛り上がってるね。本来のハロウィンのあり方はともかく、こういうイベント自体は嫌いじゃない。だからちょっとだけだけど乗ってみようかなと思って用意していた物がある。
上からかぶると可愛いお化けちゃんに仮装できる白い布。お化けちゃんの顔はコミカルと言うかファンシーと言うか、可愛い感じにしてある。本気を出せばもっと禍々しくも出来たけど、トリックオアトリートを仕掛けたい相手がさとちゃんの場合、本気で怖がらせちゃいけないから。
念には念を、お化けちゃんのテストはちゃんとやった。昨日、緑大で高崎相手に実験してみたら、いくら可愛いお化けちゃんでもいきなり脅かされればビックリはするらしい。こういうのが嫌いな高崎でそういう反応だったということで、さとちゃんにはもっと驚かせない方向で行くことに決めた。
さて、今日はアルバイトだよ。とは言えポイント倍付け施策のない平日の午前中は人があまり来ないので、割とゆるっとしていてね。僕はレジ前の商品の補充をしながら、退屈なんだーとレジに立つ星羅と軽くお喋りをしていたよ。
「タンデムに憧れるんだ!」
「タンデムと言うと、バイクの2人乗りのことだね」
「そうなんだ!」
「星羅には立派なジープがあるじゃないか」
「ボクのジープもカッコいいんだ!」
「なら、どうして」