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【SSS】ただひとりだけの

「お風呂上がりのビールとは」
「お前さっき散々「まだビールの美味しさはわかんないな」とか言っときながら」
「飲んでみたいです〜」
「で、また「よくわかんないな」とか言って俺に投げんだろ、知ってんだぞ」

 菜月と飯を食う約束をして至る今。飲むのに部屋に戻れば学祭の準備に奔走する宮ちゃんに目撃されたり唐揚げを差し入れられたり。菜月とは互いの近況や学祭のこと、その他下らない事を話しながら至る今。日付が変わるか変わらないかくらいの時間帯だ。
 ムギワンもすっかり静かになったし、帰って来た時には明るかった大学構内もいつしか暗く静まり返っていた。まあ、大学祭実行委員はサークル棟の中に籠って作業をしているだろうが。
 シャワーには寒いからという理由で風呂に湯を張り、交代で入浴を済ませる。自分の部屋で湯を張るなんざ、ひょっとしたらこの部屋に住み始めてから始めてかもしれねえ。髪も乾かして、部屋着に着替えて、菜月はメガネをかけて。やることは晩酌だ。


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【SSS】駆け抜ける秋の足音

 サークルが終わって、今日はみんなでご飯を食べに行くことも装飾の作業をすることもなく直帰。部屋に戻って荷物を置いて、これから必要な道具をカバンに詰めていく。それらが済んだら、服と髪型を変えてまた外に。ちょうど約束していた時間だ。階段の踊り場から下を見下ろせば、白いビッグスクーター。

「よう」
「ん」

 夏合宿を除けば7月以来になるだろうか。今日は高崎と会う約束をしていた。ご飯でも食べながらちょっと話しますか、くらいの感じで。受け取ったヘルメットをかぶり、ビッグスクーターの後ろに乗らせてもらう。


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