「圭斗悪い、ちょっとお手洗いに」
「ん、わかったよ。僕たちは店の外で待ってるから」
夜は随分と冷え込むようになっていた。会計は済んでいたので、僕と三井は店の外に出た。今日は何と、MMPの3年が3人だけで夕食を食べていたという、過去に前例は1度しかない激レア案件が発生していた。
それと言うのも、インターフェイスに加盟している大学ではほとんどが大学祭を境に代替わりをする。それに伴い、次期の役職などを話し合わなければならなかったのだ。まあ、つまりそういうことだね。
結論から言えば役職は一応ちゃんと決めさせてもらった。2年生は人数が多いから代表職と会計職を分けることにしたり、総務の仕事がゴーストライターから代表へのツッコミになったりと些細な変更点はある。
軽く2回ノックをして、重厚な扉を押し開く。失礼しますと一礼すれば、中からはどうぞと返って来る。
いつ来てもこの文化会役員室という部屋の雰囲気には慣れない。絨毯の床に皮張りのソファや観葉植物が置かれていて、本当にどこかの会社の応接間のよう。この建物自体は殺風景なのに、扉の向こうはまるで別世界のように思えた。
文化会役員の中でも、さらに限られた役職の者しかこの部屋に席を持つことは出来ないそうだ。監査席で書類仕事中だった萩さんは、私の顔を見ると応接用のソファに移動した。