気功治療への道
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相生と相剋
五行、経絡で言えば、「肝、心、脾、肺、腎」は、単独で虚になったり実になったりする訳ではなく、その関係性において虚実を表しています。
例えば3という量が多いか少ないかという場合、絶対的な基準は無く、5に対しては少ないし、1に対しては多いというように相対的なんですが、各経絡の虚実も相対的なものとして捉えます。
その相対的な相関関係も二つの異なった関係性を持っていて、一つを「相生関係」、もう一つを「相剋関係」と呼んでいます。
1、相剋関係
一筆書きで星のマークを書き、それぞれの頂点に、右回りに「肝、心、脾、肺、腎」と記します。
そして、直線で向かい合った関係、それを相剋関係と呼んでいるんです。
肝に対しては脾と肺が相剋関係になり、心に対しては、肺と腎が、脾に対しては、腎と肝が、肺に対しては、肝と心が、腎に対しては、心と脾が、それぞれに相剋関係になる訳です。
そして、この関係性の中で経絡の虚実を把握していくんですね。
2、相生関係
本治法の基本は虚を補うことから始める訳ですが、その際、「虚したるは其の母を補え」という難経の法則があり、それに従って治療を施す場合、五行の母子関係というのが用いられ、それが相生関係と呼ばれるものなんですね。
母と子を「→」で表せば、肝→心、心→脾、脾→肺、肺→腎、腎→肝となります。
※実際の治療の話の中で詳しくお話しさせて頂きますね。
気功治療への道
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経絡と五行の関係
六部の脈処の経絡の配置を覚えたところで、それらの経絡の五行への配置を覚えましょう。
五行とは、物をその物たらしめる性質のことで、春夏秋冬も、朝、昼、夕、夜などの経過も東西南北のもつ方向や、青、赤、黄、城、黒の色の性質など、あらゆるものを、「木、火、土、金、水」の五つの性質的な傾向として捉え、その五行の関係性(相生関係、相剋関係…次回に述べます)によって物事の成り立ちと変化を把握するという東洋の哲学です。
何か呪(まじな)いのようで非科学的に思えますが、この五行を応用するからこそ鍼灸が単なる外科的な物理作用を越えた東洋医学として成り立ち、実際に治療的な効果を発揮し、二千年以上もの歴史を持つことが出来ているんですね。
全身を巡る気の流れも、流れる場所によって名前を変えると同時に、五行的な性質も変わります。
その経絡的な変化を把握するのが六部定位脈診なので、その関係性を理解し、治療に役立てる為には、各経絡の五行を頭に入れておく必要があるんです。
簡略化するために、次のように表してみます。
*五行→陰経/陽経
1、木→肝/胆
2、火→心/小腸
* 心包/三焦
3、土→脾/胃
4、金→肺/大腸
5、水→腎/膀胱
となっています。
但し、覚える場合は、陰の経絡を木火土金水の順に「肝心脾肺腎」と口にして頭に叩き込み、その上で、陰経に対応する陽経を覚え、更に、火のところに「心包」と「3焦」を加えるようにすれば良いでしょう。
「肝心脾肺腎」という一つの言葉として覚えていくようにして下さいね。
気功治療への道
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◆脉を診て気を当てる、気を当てたら脉を診る
まずは、脉の変化を診る練習から始めます。
最初に自分の脉を診ましょう
右手の橈骨茎状突起の内側の脈動部に左手の中指を手の甲側から回して当て、それに示指と薬指を添えて当てます。
一本ずつでも良いし、三本一緒でも構いませんが、脈動部の血管の上に指の腹が軽く乗っている程度の押さえ方で脉を感じて下さい。
その部を陽部と言い、陽の経絡を診るところになるんですが、これについては、もう少し練習を深めてからお話することにします。
さて、その三カ所の陽部の脉に違いがあったり、気になるところがあれば、つまり、力が弱かったり、指に突き刺さるような感じの脉があれば、それを記憶しておきます。
自分の状態を記録していくためにメモを取っても良いですよね。
そして、気のボールを作り、それを自分の関元に3分ほど当てます。
気功で意守丹田の出来るようになっている人も、自分は術者なので、掌の感覚、気のボールを押し当てている感覚に没頭して下さい。
それから再び脉を診て、先ほど気になった脈がどう変わったかを診るんです。
この練習を左手でも練習し、脉を診ては気を当て、気を当てたら脉を診るという具合にして、脉を診ることに慣れていきましょう。