春休みも終盤、情報センターにも春の繁忙期がやってきた。それと言うのは健康診断と同じ時期にある履修登録。新2年から4年まで、3日間の登録期間がある。
もちろん、それを過ぎて実際の講義期間が始まってからも、最初の1週間のうちは履修修正期間というのがあるらしい。例えば抽選に漏れたとか、思ってた講義と違ったとかで履修を変えられるとか。
ゴールデンウイークを過ぎるまでは学内に人も多いし閑散期ほど緩い状態ではいられまい、と現時点でいるスタッフに釘を刺すのはバイトリーダーも板に付いてきた林原さん。
時刻は夜7時半、この時点で2時間の残業。アタシが派遣で行ってるこの会社は、この時期が超のつくくらい忙しい。会社で夕飯を用意することが前提になるくらいには。
ピンポンパンと放送が鳴って、夕飯が届きましたという声が構内に響けば一気に緊張の糸が緩まる。あらかじめ聞かれていた出前の注文と皿を照らし合わせ、自分の物を手にとって。
「さ、いっただきまーす」
「いただきまーす」
社員さんは当たり前のように残らなきゃいけないけど派遣やバイトはそうでもない。パートさんは割とこのタイミングで帰る人も多くって、食堂はちょっと人が少ない。今日はアタシとちかちゃんだけ。
こんなことでもないとね
どうもこんばんは、エコです。
思いがけず早く帰れたので昆布巻きを買って帰りました。
厳密にはます寿しを買うための寄り道だったんですがね。
やっぱりね、昆布巻きはニシンよ。
でも昆布巻きってカンピョウで巻いてるんだと思って食べたら藁だった
給食で出た昆布巻きはカンピョウだったからてっきりね
でもうまーだったし580円の価値はあるやね。たまに買って帰りたい
明日からはリアルに朝霞Pごっこに突入すると思うんだけどなあ
今日は思ったほどじゃなかったからね。
「石川、久々にカツーンと一戦やらんか」
「悪い、それどころじゃない」
麻雀大会にあまり乗り気でない石川というのがまた珍しいが、こういうときの石川には関わらぬが吉というのは美奈がよくよく言っていること。
手元のメモ用紙にひたすら何かを記しているようだが、時折指を折って何かを数えている。オレの席からでも薄っすらと読み取れるのは、数字、数字、数字。
「Lぅううっ!」
「ぐえっ」
俺の顔を見るなりヘッドロックをかましてくる野坂の表情と言ったら。クッソ、完全に面白がってやがるなこの男。まあ、向島だし当然っちゃ当然だし全然違和感ないよな!
「バカ野坂お前急に何すんだ!」
「この野郎幸せ分けろ」
「いいか、絶対言うなよ。フリとかじゃなくてガチで言うなよ!」
「わーかってるって!」