大学祭が近付いているのは、学内の様子から見てもわかる。ステージ用の骨組みがカンカンと組まれているし、イベントの看板も所狭しと立てられている。
大学祭実行委員も、どこにこんだけいたんだと思うくらいにわらわらと湧き出てきて、作業場と化したサークル棟の1階フロアを埋め尽くしている。正直歩くのに邪魔だ。
「学祭シーズンだね、高ピー」
「ホントだな。ウチのブースは今年も例によるんだろうな」
「例によってDJブースと焼きそばだね」
MBCCでは、大学祭で2つのブースを出すのが毎年の決まり事。まずは、放送サークルとしては当然とも言えるDJブース。それと、模擬店部門の食品ブース。メニューは焼きそばだ。
この食品ブースというのが代々1年が取り仕切ることになっている。いつからかは知らないが、少なくとも俺たちが1年だったときはもう伝統となっていたのだから、そういうことなのだろう。