「はい、1・3年生は整列してください」
「糸魚川呉服店の開店です」
青葉女学園大学放送サークルABC、今季2度目のイベント。1・3年生が作る列は、巻き尺を持ってニコニコしている沙都子の前に。
ABCでも大学祭に向けた準備は着々と進んでいる。ステージにしてもそうだし、模擬店のブースもそう。模擬店はメイド&執事喫茶を開くことになった。
このご時世、そういう街を歩けばメイド服も執事の服も手に入るだろうけど、自分好みにカスタムしたいとか、そういう要望が多い。それに、女でも着れるサイズの執事の服はなかなか難しい(ボクは男物で大丈夫かもしれないけど)。
そこで開店するのが糸魚川呉服店。もちろんこれは愛称で、厳密には生活科学部、平たく言うと家政科に在籍していて衣食住の分野はお手の物の沙都子が衣装を作ってくれるのだ。
今日行われるのは採寸。春の植物園イベントの衣装で取った寸法は残っているけど、体型が変わっていないという保証もない。だからその都度データは取らないといい服にはならない。