「はい、それじゃあかんぱーい!」
「かんぱーい! あつっ、あつっ」
「はあっ……」
乾杯と掲げた物は缶やグラスなどではなく蒸かした芋だ。春山さんが実家から送ってもらったとかそういう物で、この時期の芋は皮を剥かなくても美味しくいただけるらしい。
それはともかく、一体どうしてこんなことになったのか。揚々として芋に塩辛を乗っける春山さんと、さっきから熱い熱いと芋でお手玉をするへらへらした長身の男だ。
「おいリン、どうした。食わないのか?」
「いえ、食べますが、どうしてこんなことになっているのかと」
「私の人生のためだ。2ヶ月犠牲になってくれ」