【気づきの足跡・4/静功の役割】
「練功には動功と静功の二種類があります」
師はそうは言ったが、それについて、体を動かすか動かさないかの違いだという説明はしても、それ以上の説明はなかったのだ。
そんなの、見たままじゃん!
僕はあらゆることに疑問を持つ。
疑問を持つから探究する。
だから、新しい気づきに出逢えるのだ。
僕は、その答のヒントを「体壁系と内臓系」という肉体の二つの機能に求めてみた。
僕たちの体は体壁系と内臓系の二つの機能を持っていて、内臓系こそが宇宙のリズムを内蔵していると言う。
それは気功を習う前に読んだことのある三木某著の「内臓とこころ」という本の中に書かれていたと記憶していた。
そうか、静功は体壁系である手足や感覚と脳の働きを抑制していくことで、体内に内蔵している宇宙のリズム、即ち、生命のリズムを取り戻していく取り組みなんだ。
日常生活の中で積み重ねられていくストレスや緊張によって内臓は痛め付けられている。
それが様々な病気の元にあるとするならば、手足や感覚や脳を用いない静功は、ストレスや緊張によって抑圧されていた内蔵の働きを解放していく取り組みなのだ。
それが静功なんだと考えるようになったのである。
一言で言えば、静功は内蔵の復権作業だったので有る。
では、動功は何の為にあるのか?
動功と静功は、共に気功である。
だとすれば、本質的には同じことをしている筈なのだ。
それは何か?
僕は更に思考を巡らせていったのである。