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和気の原稿/7月15日分です

タイトル
 気功治療への道案内/七日目

本文

◆基本的な脈の診方

 今年(2019年)も梅雨前線が日本の太平洋側に停滞し、九州などでは一日に例年の7月一ヶ月分の雨を降らせ、大きな被害をもたらした。
 私たちの勉強も、いよいよ本格的な脈診に入ることになった。

 「今日は、脈診の基本を勉強しますね。」
 私が言うと、二人は緊張した面持ちで、しかし嬉しそうに顔を向けI、軽くガッツポーズを取った。
 「脈診の基本は、以前、茉奈さんが訊ねられたと思うんですが、比較脈診なんですね。」
 「比較? 陰陽?」
と、佳与が独り言のように呟いた。
 「比較するのは陰陽ではなく、寸同士、関同士、尺同士、つまり、左右の寸関尺の脈を比較するんですよ。
 しかも、グッと押さえた時の脈、即ち、陰の脈を比較していくんですね。」
 「寸同士ということはー……、んーと、肺と心?」
と、佳与が腕を組み、片手の人差し指を顎に当てながら言った。
 「寸が肺と心、関が脾と肝、尺が心包と腎ですね?」
と言う茉奈の言葉を聴きながら、私は、それをホワイトボードに整理して記した。


寸 肺−心
関 脾−肝
尺 心包 腎


「何故そうするんですか?」
と、茉奈が訊いた。
 「それはですね、寸、関、尺のそれぞれが相剋の関係になっているからなんですね。」
 そう言って、私は五行の図を書いた。

*図を参照

 「脈を診る場合、その虚実は、相対的な関係において把握するんですが、その関係は、主に相剋関係によって診るんです。」
 「相剋関係って?」
と、佳与が言った。
 「この図の星形によって示されている関係で、シーソーのような拮抗的な関係を相剋関係と呼んでいるんですよ。」
 「シーソーだから、つり合っている場合もあれば、片方が高くて片方が低いとか、その逆もあるということですね?」
 佳与は相剋関係を理解したようだった。
 「心包は心のところに入れれば良いんですか?」
と、茉奈が訊いたので、私が頷くと、
「先生! この図を見ると、寸同士の肺と心、関同士の脾と肝、尺同士の心包と腎は、みんな相剋なんですね!」
と、佳与が何か新しいものを見つけた子どもものような声を上げた。
 「比較脈診というのは、五行の相剋同士で脈を比較して診るということだったんですね。」
と茉奈が言い、佳与も納得したようだった。

●脈を診るコツ

 「では、実習です。 茉奈さん、佳与さんの脈を診るように構えて下さい。」
 茉奈が佳与の左右の橈骨茎状突起の内側の脈動部に中指を当て、それに示指と薬指を添えた。
 「では、寸同士の両方が同じように感じるところまで指を押さえていってください。」
 茉奈は、
「はい」
と言って指を押さえ、再び、
「はい!」
と言った。
 「では、そこから、両方同じようにゆっくり押さえていって、先に脈が消える方を見つけて下さい。」
 茉奈は、目を閉じて、それを確かめるように脈を診ていた。
 そして、
「肺の方が先に消えたというか、弱い感じがします。」と言った。
 「そんな風にして、関も尺も診て下さい。」
 そう私は指示をして、お茶を一服口にした。
 「先生、左右差がない場合はどうすればいいんですか?」
と佳与が訊いたので、
「それはそれで、そのまま受け止めておきましょう」
と、私は答えた。
 茉奈の実習が終わり、佳与と交代し、二人は実習を楽しんで続けていた。
 「この寸関尺同士で得られた情報によって治療の仕方を決めていくんですね?」
 茉奈が訊いたが、それは次回に勉強することにして、私は、二人に私の脈も診てもらったのである。
 二人は、寸はこうだった、関はこうだったなどと意見を交換し合いながら、何度も私の脈を確かめて、認識を共通のものにしていったのだった。

和気の原稿/7月15日分です

タイトル
 気功治療への道案内/七日目

本文

◆基本的な脈の診方

 今年(2019年)も梅雨前線が日本の太平洋側に停滞し、九州などでは一日に例年の7月一ヶ月分の雨を降らせ、大きな被害をもたらした。
 私たちの勉強も、いよいよ本格的な脈診に入ることになった。

 「今日は、脈診の基本を勉強しますね。」
 私が言うと、二人は緊張した面持ちで、しかし嬉しそうに顔を向けI、軽くガッツポーズを取った。
 「脈診の基本は、以前、茉奈さんが訊ねられたと思うんですが、比較脈診なんですね。」
 「比較? 陰陽?」
と、佳与が独り言のように呟いた。
 「比較するのは陰陽ではなく、寸同士、関同士、尺同士、つまり、左右の脈を比較するんですよ。
 しかも、グッと押さえた時の脈、即ち、陰の脈を比較していくんですね。」
 「寸同士ということはー……、んーと、肺と心?」
と、佳与が腕を組み、片手の人差し指を顎に当てながら言った。
 「寸が肺と心、関が脾と肝、尺が心包と腎ですね?」
と言う茉奈の言葉を聴きながら、私は、それをホワイトボードに整理して記した。


  右 左
寸 肺−心
関 脾−肝
尺 心包 腎


「何故そうするんですか?」
と、茉奈が訊いた。
 「それはですね、寸、関、尺のそれぞれが相剋の関係になっているからなんですね。」
 そう言って、私は五行の図を書いた。

*図を参照

 「脈を診る場合、その虚実は、相対的な関係において把握するんですが、その関係は、主に相剋関係によって診るんです。」
 「相剋関係って?」
と、佳与が言った。
 「この図の星形によって示されている関係で、シーソーのような拮抗的な関係を相剋関係と呼んでいるんですよ。」
 「シーソーだから、つり合っている場合もあれば、片方が高くて片方が低いとか、その逆もあるということですね?」
 佳与は相剋関係を理解したようだった。
 「心包は心のところに入れれば良いんですか?」
と、茉奈が訊いたので、私が頷くと、
「先生! この図を見ると、寸同士の肺と心、関同士の脾と肝、尺同士の心包と腎は、みんな相剋なんですね!」
と、佳与が何か新しいものを見つけた子どもものような声を上げた。
 「比較脈診というのは、五行の相剋同士で脈を比較して診るということだったんですね。」
と茉奈が言い、佳与も納得したようだった。

●脈を診るコツ

 「では、実習です。 茉奈さん、佳与さんの脈を診るように構えて下さい。」
 茉奈が佳与の左右の橈骨茎状突起の内側の脈動部に中指を当て、それに示指と薬指を添えた。
 「では、寸同士の両方が同じように感じるところまで指を押さえていってください。」
 茉奈は、
「はい」
と言って指を押さえ、再び、
「はい!」
と言った。
 「では、そこから、両方同じようにゆっくり降ろしていって、先に脈が消える方を見つけて下さい。」
 茉奈は、目を閉じて、それを確かめるように脈を診ていた。
 そして、
「肺の方が先に消えたというか、弱い感じがします。」と言った。
 「そんな風にして、関も尺も診て下さい。」
 そう私は指示をして、お茶を一服口にした。
 「先生、左右差がない場合はどうすればいいんですか?」
と佳与が訊いたので、
「それはそれで、そのまま受け止めておきましょう」
と、私は答えた。
 茉奈の実習が終わり、佳与と交代し、二人は実習を楽しんで続けていった。
 「この寸関尺同士で得られた情報によって治療の仕方を決めていくんですね?」
 茉奈が訊いたが、それは次回に勉強することにして、私は、二人に私の脈も診てもらったのである。
 二人は、寸はこうだった、関はこうだったなどと意見を交換し合いながら、何度も私の脈を確かめて、認識を共通のものにしていったのだった。
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