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和気の原稿/7月29日分です

タイトル
 気功治療への道案内/九日目

本文

◆具体的な実習を楽しむ 


 「少し頭を使い過ぎましたので、今日は治療の実習をしましょうか。」
 私が言うと茉奈と佳与は嬉しそうに顔を見合わせた。
 外では蝉たちが残り一週間の命を燃やすべく勢いよく鳴いていた。
 「気功治療には、免疫力を強くする治療、全身の経絡の気を調える治療、具体的に表れている症状に対処する治療の三つがあるんですよね。」
 私が言うと、二人はノートを取り出した。
 私もホワイトボードを取り出し
 


1、免疫力を高める
2、経絡の気を調える
3、症状を緩和する
    


と書いた。
 「今日は、二人で組になって、独りが患者、独りが治療師になり、この三つの治療の練習をしてみましょう。」
 「すると、一人が横になった方が善いですよね?」
と佳与が言い、
「私、患者になる!」
と、仰向けに寝転んでしまった。
 笑い顔になっている茉奈に私は言った。
 「では、まず、証を決めるまではいかなくても、寸関尺のそれぞれで比較脈診をして、脈の状態を、そうですねえ、一番弱いと感じるところをみつけて下さい。」
 私が麦茶を飲みながら見ていると、茉奈は丁寧に、そして真剣に佳与の脈を診ていた。
 そして、
「脾が一番弱く感じました。」
と言った。
 「では、最初に免疫力を強くする治療をしましょう。
 佳与さんの左手の陽池に茉奈さんの右手の労宮を当てるようにして手首を包み、左手を佳与さんの関元に向けて下さい。」
 「佳与さんの丹田のところに気のボールを押し当てるようにすればいいんですか?」」
 茉奈が訊いたので、私は目を細めて頷いた。
 ちなみに、「陽池」という経穴(ツボ)は、手の甲側の手首の真ん中にあるツボの名前で、三焦経のバランスを調えるための有効な「原穴」になります。
 原穴は各経絡に一つずつあり、補法にも瀉法にも用いてよく、治療には、まず原穴をを用いるようにしてみると善いと思います。
 三焦経は、胸部、上腹部、下腹部の内臓全体の気のバランスを調えていく経絡で、その原穴を用いることで、免疫力を高める働きがあるんです。
 茉奈はしばらくの間その形を保っていた。
 3分くらい経った後、私は、再度、佳与の脈を診るように勧めた。
 「全体的に脈も締まったようで、脾の脈も少し強くなったような気がします。」
と茉奈は言った。
 「軽い症状なら、その治療だけでも効果はありますが、今日は練習なので、次の治療もしてみましょう。」
 「証を立てるんですか?」
 茉奈が訊いたので、
「それはもう少し勉強してからにして、今日は、脾に対して気を補うだけの治療をしてみましょう。」
 「どうすれば良いんですか?」 茉奈の問いに
「脾の原穴に気を入れるんです。」
 「脾の原穴は何処なんですか?」
 茉奈の問いに私は答えた。
 「脾の原穴は、太白と言って、足の親指の根元の膨らみである母指球を作っている太い骨の内側の後ろにある凹みです。」
 茉奈は、
「足の甲にある細長い骨の中で親指の骨の内側と母指球の境目の凹みですか?」
と訊いたので、私は佳与の右足の太白のツボに指を当てて茉奈に示した。
 「ここに剣指で気を入れるようにするんですか?」
と茉奈が言った。
 私は、
「女性には、陰陽の考え方から右の手足のツボを使い、脾の経絡は足先からおなかの中に向かって流れていますので、剣指も少し斜めにお腹の方に向け、ゆっくり右回しに動かしてみて下さい。」
と、幾つかの注意点を伝えた。
 茉奈は佳与の右足の太白に剣指を斜めに向けて、指先を右回しに動かした。
 剣指を10回ほど回した茉奈に向けて、
「では、また脈を診て下さい」
と、私は言った。
 脈所に指を当てていた茉奈は、驚いたように、
「脾の脈が強くなっています!」
と、声を上げた。
 「では、最後に、症状治療に入りましょう。
 佳与さん、何処か調子の悪いところ、ありますか?」
 そう私は言った後、本当の治療の場合は証を立てないといけないので、こんなことは最初に訊くのだが、と付け加えた。
 佳与は、少し寝不足なのか、頭が重いというか、後ろ首筋が凝っている感じがする、と答えた。
 「では、佳与さん、うつぶせになってください。
 で、茉奈さんは佳与さんの首から背中に掛けての辺りに気のボールを押し当てるようにしてみてください。
 両手でも片手でも構いませんからね。」
 そして、その治療を3分ほど続けてもらった後、茉奈に再び脈を診させ、脈が調ったのを確認させた。
 「あー気持ち良かったー!
 首のところのつかえが取れたような感じです!」
と、佳与は言って起き上がった。
 その後、二人の立場を交代させて、佳与にも茉奈と同じようにちりょうしてもらい、今日の実習を終えたのである。
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