最近、ゼミ室でその名前を聞いていたのが呼び水となったのだろうか、人の往来の激しい星港駅近くの通りでも見間違うことなく捉えたのはかつての同級生。
とは言え、クラスが同じだったこともなく、特別親しかったワケでもない。共通の友人が何人かいるくらいだ。その共通の友人は高校の同級生にも、大学にもいるという点で名前を聞く頻度は多少あるが。
「高崎」
「お、リン君」
「奇遇だな。お前、緑ヶ丘近郊に住んでいるのではなかったか?」
「ちょっとこっちに用事あって。でもまさかリン君に呼び止められるとは思わなかった」
「最近、お前の名前を聞く機会があってな。どうしているのかと少し気になっただけだ」