地鏡を割って


執拗に私の手を引く




夏の湿度になんて言い返そうか




欲しいものではなく




ただ一方的に与えらているだけ


















どれだけ分け与えても




それはただ物と引き換えに




関係を保ちたいという




弱く拙いだけの己惚れなのに
















ひたすら暑いだけなら




まだ我慢できる




深く腕を握るから




振りほどく気力もなく




身も心も遣られていく
















日夜降り注ぐ




蝉の声に蜩に声に




いつまでも熱は高い














痕が付き火照った腕を




冷やす優しさは




幾何も先のようだ





















渡せる物など燃えてしまえ




君への感情




諸共全て