塵 月 抄

スポンサーサイト

自我錯乱、声明は天成に憚れる

生温い風に蝉時雨




何年経っても変わらない




何処を彷徨っても同じもの




歳ばかり取ったなと




思えるほど




多くのものを見てきていない




















矜持を擘くような




ひとつの台詞に不貞腐れて




目まぐるしい日々と共に




毛布に縺れ愚痴を貪っている


























何を覚えていて




何を忘れてしまったの




身動きが




取れないのではなくて




動く箇所を




思い出せないだけ




















指先の感覚が伝う




僅かな機微




睫毛の先が




風に靡く意味




心の冷たさの芯の深い色




見えるものの不完全さ






















生きることの




良し悪し




生きにくさ




生きやすさ




吐く息に現れる




心情の向き





















運なんていう




確かなものでない




物事はすべて




人が決めている




人間の不始末な利己が




私たちを苦しめ




線を引く


































羨ましいか








狼狽えて








あの頃の眼の鋭さは








愚かさか








何も見えていなかったか





















陽炎の揺らめきこそが












真実を映していただろ